ANAマイレージクラブにはプレミアムポイントというポイントプログラムがあります。
ANAマイレージクラブに入会してはいるけど、マイレージにそこまで興味をもっていないと、
「ん?なんだ、このプレミアムポイントって?」
って思ったりするものです。
また、上級会員制度やマイル修行に興味を持って調べてみると、必ずこのプレミアムポイントの話に行きつくわけですが、プレミアムポイントについて調べてみて多くの人が、
って感じたりすると思います。
私もSFC修行に興味を持ってた一人ですが、プレミアムポイントについて理解するのが面倒で修行を何年も見送ってました(笑)
私のようにプレミアムポイントが難しくてマイル修行を断念するなんて残念なことが起きないように、マイル修行の最初の難関であるプレミアムポイントについて解説していきます。
プレミアムポイントとは
プレミアムポイントについて解説する前に、簡単にANAマイレージクラブの上級会員制度について触れます。
ANAマイレージクラブには、他の多くの航空会社同様に「上級会員」制度があります。
上級会員になると、ANAのラウンジが無料で使えたりマイルが一般会員より多く貯まったり、優先搭乗ができるなど様々な優遇を受けることができます。
ANAの上級会員にはダイヤモンド、プラチナ、ブロンズの3段階があり、それぞれ優遇内容やステータス達成条件が異なります。
これらのステータスを達成する条件こそがプレミアムポイントで、飛行機に無料で乗れるポイントであるマイルとは別物です。
このプレミアムポイントを10万プレミアムポイント(PP)を集めるとダイヤモンド、5万PPでプラチナ、3万PPでブロンズのステータスを獲得できます。
画像出典:ANA
https://www.ana.co.jp/ja/jp/amc/reference/premium/premium-point/
つまり、プレミアムポイントはANAマイレージ会員のステータスを決めるポイントだと言えます。
このプレミアムポイントは、残念ながら永遠に貯められるものではありません。
マイルの有効期限は3年ですが、プレミアムポイントは1月から12月までの1年間のみ有効で、翌年1月1日にはまたゼロにリセットされます。
ですので、上級会員のステータスを獲得するには、1月1日~12月31日までの間にポイントを貯めなければならないのです。
所定のプレミアムポイントを集めると、晴れて翌年度(翌年4月1日~翌々年3月31日)の上級会員になれます(上級会員の事前サービス期間があるので、実質的にはポイント達成から2日後にはステータスが付与されます)。
なお、プレミアムポイントはANA便の搭乗で貯まるプレミアムポイントと、スターアライアンス便・スターアライアンスコネクティングパートナー便の搭乗で貯まるプレミアムポイントがあります。
そして、ステータスを獲得するには必要プレミアムポイントの半分はANA搭乗便のプレミアムポイントである必要があります。
ユナイテッド航空だけに乗って5万PP貯めても、ANAのプラチナステータスは獲得できないのです。
その他、集めたプレミアムポイントに応じて翌年度のアップグレードポイントがもらえたり、15万PPでダイヤモンドメンバーのオリジナルネームタグが貰えるといった特典もあります。
プレミアムポイントの貯め方
いよいよ、初心者が難解と感じるプレミアムポイントの貯め方について解説していきます。
飛行機に乗らないとプレミアムポイントは貯まらない
プレミアムポイントを貯めるには、飛行機に乗らないと貯まりません。
ANAグループ便やスターアライアンス便、スターアライアンスコネクティングパートナー便の搭乗で貯まります。
(2021年はコロナ禍で例外的に上級会員にプレミアムポイントを付与するなど特例措置がとられていますが、平時であれば飛行機に乗らない限りプレミアムポイントは付与されません。)
マイルであればクレジットカードを使ったりすれば貯まりますが、プレミアムポイントはクレジットカードで1,000万円決済しても1PPも貯まりません。
さらに、どんな航空券で搭乗しても貯まるわけではなく、現金(クレジット決済など)やスカイコインで購入した航空券がプレミアムポイントの付与の対象となります。
ですので、マイルでとった特典航空券ではプレミアムポイントは付与されません。
また、スターアライアンス便の中には有償の航空券であってもマイル積算率がゼロ、つまりマイルがもらえない航空券もあり、マイルが付与されない航空券ではプレミアムポイントは付与されません。
プレミアムポイントの計算方法
マイル修行初心者にとって最も分かりにくいのはプレミアムポイントの計算方法です。
ですが慣れればなんてことないですので、食わず嫌いせずじっくりご覧ください。
なお、実際プレミアムポイントを調べる際は自分で電卓を叩くのではなく、こちらのANAのフライトマイルシミュレーターで調べるのが便利で正確で実際的です。
そうは言っても、プレミアムポイントの計算式を知ることによって修行路線を考えるヒントにはなりますので、知っておいた方がよいと思います。
プレミアムポイントの計算式は以下の通りです。
(区間基本マイレージ × 運賃倍率 × 路線倍率) + 搭乗ポイント
ひとつずつ解説していきます。
区間基本マイレージ
これはざっくり言うと、出発地から目的地までの飛行距離を表しています。
例えば、東京からバンコクまでは約4,600km離れているのですが、区間基本マイレージは2,869マイルとなっています。
1マイルは約1.6kmですので、大体計算が合いますね。
この区間基本マイレージはIATA(国際航空運送協会)のTicketed Point Mileage(TPM)を元に定められています。
プレミアムポイントを考えるうえで重要なのは、運賃クラスや路線倍率(後述)といった条件が同一であれば、遠くへ飛んだ方がプレミアムポイントが多く貯まる、という事です。
同じ運賃クラスであれば、東京から台湾へ飛ぶよりシンガポールに飛んだ方がプレミアムポイントは多く貰えます。
ただ、後ほど路線倍率のところで説明しますが、単純に遠くへ飛べば沢山プレミアムポイントが付与されるわけではない点は注意が必要です。
運賃倍率
これは、どの予約クラス・運賃の航空券を購入したかによって付与されるプレミアムポイントの掛け目が変わるものです。
ANAの場合、高いもので150%、低いもので30%です。
ANA以外の航空会社ですと0%もあるので、この場合いくら飛行機に乗ってもマイルやプレミアムポイントはもらえません。
一般的に、高い運賃を払えば運賃倍率も高くなります。
ここでややこしいのは、予約クラスと座席のクラスが1対1に対応しているわけではない点です。
同じエコノミーの席でもチケットによって予約クラスは異なったりすることがあります。
これは正直かなり複雑なものなので、予約画面やEチケット控えなどで自分の予約クラスを調べた上で、フライトマイルシミュレーターでプレミアムポイントを調べるのが良いと思います。
たとえば、国際線で言うと下の予約画面に書かれている「Sクラス」がこのチケットの予約クラスになります。
これまたややこしいのは、国際線ではアルファベット1文字の予約クラスと呼び、国内線では運賃と呼ぶのです。
国内線は運賃1から運賃13まであります。
国内線の予約画面では「運賃1」とか書いてありませんので、予約したものがスーパーバリュー75等どの種類なのか確認したうえで、こちらでそれがどの運賃に該当するのかを調べる必要があります。
ざっくり、プレミアムクラスならスーパーバリュープレミアム28で予約することが多いでしょうから運賃2、普通席ならスーパーバリュー28やら75といったものが多いでしょうから運賃7って覚えておけば大体対応できるでしょう。
なお、国際線についてANA以外のスターアライアンス便に搭乗する場合は、当然予約クラスがANAとは異なります。
その場合、フライトマイルシミュレーターの予約クラスをそのまま当てはめることが出来ませんので、こちらで各航空会社の積算率を確認して計算してください。
路線倍率
先ほど区間基本マイレージのところで「遠くへ飛んだ方がプレミアムポイントが多く貯まる」と言いましたが、その原則に変更を加えるのがこの路線倍率です。
路線倍率はその名の通り、路線によって付与されるプレミアムポイントの掛け目が変わるものです。
路線倍率は以下の通りです。
距離の短い国内線で修行している方が多いのは、上記の通り国内線は路線倍率が高いからです。
また、シンガポールやシドニー路線が人気である理由のひとつに路線倍率の高さがあります。
逆に欧米路線で修行するってのはあんまり見ないですよね。
もちろん、欧米路線で修行する人がまったくいないわけではありませんが、
路線倍率が1倍なので距離が遠くて時間がかかったり航空券の値段が高いわりにプレミアムポイントが稼げないので、修行路線としては欧米路線は魅力的ではないことが多いです。
搭乗ポイント
搭乗ポイントは、高いクラスの座席で搭乗したりすると貰えるおまけポイントです。
対象となるのは以下の通りです。
国際線は以下の通りです。
スターアライアンス便などは以下の通りです。
上記3画像の出典:ANA
https://www.ana.co.jp/ja/jp/amc/reference/premium/premium-point/
ここで特筆すべきは国内線のバリュートランジットで搭乗すると、直行便より直前価格が安いことが多いうえに搭乗ポイントがもらえてお得な点です。
バリュートランジットについては、下記の記事で解説しているのでそちらをご覧ください。
>>SFC修行のルートや費用を公開~国内線のみの例も【コロナ対応】~
たとえば、バリュートランジットで羽田から沖縄を経由して石垣に行った場合、1回のフライトで搭乗ポイントが200ポイントがもらえるので、合計400ポイント貰えるのです。
バリュートランジットは修行でも活用できますので、検討してみてはいかがでしょうか!
ANAのステータスやANAカードの種類はプレミアムポイントに影響しない
マイルは現在保有しているANAのステータスやANAカードの種類によって積算率が異なります。
一方で、プレミアムポイントの計算にはステータスやANAカードの種類は影響がありません。
プレミアムポイントの計算式では、平会員もダイヤモンド会員もANAプレミアムカード保有者も皆平等なのです。
以上がプレミアムポイントの計算方法です。
先ほども言いましたが、実際にプレミアムポイントがどのくらいもらるかは、
を使って計算することになります。
PP単価について
マイル修行やプレミアムポイントを語る上では、PP単価(プレミアムポイント単価)を外すことはできません。
ここまでは、いくらプレミアムポイントが貰えるかを見てきました。
プレミアムポイントがいくら貰えるかは重要ですが、単に多く貰えればいいと言う話にはなりません。
たくさんプレミアムポイントが貰える路線でも、航空券が非常に高くては意味がないのです。
そこで重要になるのが、PP単価です。
PP単価はその名の通り、1PPを獲得するのに何円かかるかを表します。
当然、PP単価は低いほど金銭面では効率的な修行と言えるでしょう。
一般にSFC(スーパーフライヤーズカード)を取得するための修行には50万円程度の費用がかかると言われています。
その理由は、SFC取得のためにはプラチナステータスを獲得することが必要ですが、プラチナステータスを獲得するには50,000PP必要なことに由来しています。
つまり、PP単価の目安を10円として
50,000PP x 10円 = 50万円
と計算しているのです。
もちろんこれよりPP単価を抑えることも出来ますが、羽田沖縄を普通席で15往復以上するなど、
PP単価を極端に抑えるとなかなか大変な思いをすることになりがち
なので、大抵の人はPP単価の仕上がりが10円前後になることが多いようです。
逆にPP単価が高い路線ばかり利用していると、ステータス獲得のために費やす費用も高額になってしまいます。
PP単価の計算は、
PP単価 = 航空券代 ÷ 獲得プレミアムポイント
で出来ますので、フライトマイルシミュレーターでプレミアムポイントを見てPP単価を計算して修行の計画を練りましょう。
海外のスターアライアンスメンバーはしばしばビジネスクラスのプロモーションを行っており、格安で搭乗できるのにマイルの積算率が高かったりすることがあるので、そういったものを活用するとPP単価が抑えられますね。
ただ、ANA以外のスターアライアンス便などで獲得したプレミアムポイントだけでは、ANAのステータスは獲得できませんので注意が必要です。
ブロンズなら15,000PP、プラチナなら25,000PP、ダイヤモンドなら50,000PPはANAグループ便で貯めなければなりませんよ。
まとめ
これまでの要点をまとめます。
- プレミアムポイントはANAのステータス獲得の基準となるポイント
- マイルのようにプレミアムポイントで飛行機に乗れたりするわけではない
- 獲得PP = (区間基本マイレージ × 運賃倍率 × 路線倍率)+搭乗ポイント
- つまり、PPは遠くへ飛べば多くもらえる(区間基本マイレージ)
- ただ、国内線やアジアオセアニアの方が距離のわりに多く貰える(路線倍率)
- 高い航空券ほど多く貰える(運賃倍率、搭乗ポイント)
- プレミアムポイントの計算にはフライトマイルシミュレーターを活用しよう
- PP単価を計算して修行計画を立てよう
プレミアムポイントの計算や修行計画は、慣れないうちは大変に感じます。
ですがすぐに慣れますし、慣れれば路線を考えたりすることが楽しくなってきます。
行ってみたい旅行先のPP単価が低ければ、とても興奮しますよ!
ぜひ、ここでプレミアムポイントについて学んで、修行を楽しんでほしいと思います。